当サイトのようなGenesisカスタマイズを紹介するサイトを運営していると、Genesisのメリットやデメリットを教えてほしいというお問い合わせを定期的にもらいます。
Genesis の良さは、その総合力だと思ったりもするので、なかなか文章にするのが悩ましいところもありますが、個人的な意見も交えながらGenesisフレームワークのメリットとデメリットをまとめてみました。
目次
メリット
1 SEOに強い
Genesisのメリットとして真っ先にあげられるのは、間違いなくSEOの強さでしょう。公式サイトでもその他のサイトでも、GenesisのSEOの強さは他に比べて特に強調されることが多いです。
GenesisがSEOに強い理由を一言で言えば、Genesisは構造化データなどの最新のSEO技術に対応しているから、となりますが、正直なところ私もなぜGenesisがここまでSEOに強いのかよく分かっていません。
以前自作のテーマで、構造化データを適用したり、アウトラインを整えながらHTML5を使用したりと、Genesisと同じような構造でサイトを制作したことがありますが、Genesisほどの効果を叩き出すことは出来ませんでした。きっとStudioPressのSEO専門チームが、私が知らないようなSEO対策をしてくれているんだと思います。
StudioPressの親会社がコンテンツマーケティングという言葉を作り出したCopybloggerであることを考えると、それも当然なのかもしれません。
ただ、Genesisを使ったとしてもコンテンツが一番大事ということに変わりはありません。適当に書いたコンテンツでも競合性の高いキーワードで上位表示なんてことは無いでしょう。でも、もしコンテンツの魅力が同じ位か多少劣る位なら、おそらくGenesisサイトに軍配が上がることだと思います。
2 Genesisコミュニティ(豊富なプラグインやサービス)
Genesisは2017年10月現在、主に海外で約21万人のユーザーに使われています。有料のWordPressテーマとしては最大級です。
最近久しぶりにGenesis購入者専用フォーラムにログインしてみましたが、今でも活発にやりとりが行われているようです。(たまにケンカしている場面に出くわすこともありますが、、)皆さん基本フレンドリーなので、Genesisを既に購入されている方は一度覗いてみると良いかもしれません。
また、Genesis本体には公式のGenesis用ウィジェットがいくつか用意されています。それ以外にも、Genesis利用者が作ったGenesis専用プラグインやサービスもあります。Genesisカスタマイズには欠かせないGenesis Visual Hook Guideも非公式のプラグインですし、W3 Total Cache(キャッシュのためのWordPressプラグイン)によるGenesis専用の拡張機能もあります。
Genesisがここまで支持されているのは、Genesisコミュニティの存在も大きいでしょう。
3 信頼性
上でも少し書きましたが、Genesisは一流のSEO専門家やセキュリティ専門家、プログラマーのチームで開発されており、Genesis制作者以外の方からも幅広く支持されています。個人的には、どのような方が開発しているのか分かるということも、Genesisを信頼している理由の一つです。
また、WordPress本体を開発する上で重要な役割を担っている方がGenesisを開発しているため、Genesis本体のアップデートを通して最新のセキュリティ対策などを取り入れているようです。
ちなみに上のサイトは、アクセスするたびに開発者の並び順が変わります。こういう序列を設けないフェアな仕組みもグローバルな会社らしくていいですね。
4 高い拡張性
Genesisのメリットとして忘れられないのが、高い拡張性です。
海外では、Genesisはウルトラ・フレキシブルな拡張性を持つと言われているらしく、アフィリエイトサイトから企業サイト・ECサイトまで様々なサイトに適用出来るよう高度にモジュール化されています。
1行のコードで指定したページのレイアウトを制御できるなど、セキュリティ対策済みのコードで拡張性に優れているというのは、サイトを制作する上での大きなメリットです。
例えば、下のコードはフッターのウィジェットエリアを3つに変更するコードですが、これはGenesis子テーマなら1行で終わりです。テーマによっては見た目(CSS)の調整が必要になることもありますが、フッターのウィジェットエリアが1つしかないテーマでも、下のようなコードをfunctions.phpに追加(または編集)すれば、フッターのウィジェットエリアを3つ4つと増やすことができてしまいます(最高6つまで)。
add_theme_support( 'genesis-footer-widgets', 3 );
5 通販サイト化(EC化)しやすい
Genesisは Genesis Connect for WooCommerce というプラグインを使用することで、通販サイトを簡単に構築することが出来ます。
しかも、通販サイトに対応しているGenesis子テーマと、対応していない子テーマの違いは、基本的には通販用のスタイルがあるかどうかということだけです。Metro Pro という子テーマも通販サイト化に対応していますが、通販サイトに対応しているからと言って、膨大なコードの子テーマにはなっていないのです。通販化に必要なことの大部分は、Genesis Connect for WooCommerceがやってくれます。
こちらのGenesis子テーマ一覧では、通販サイト化に対応しているかどうかをテーマの特徴と併せて紹介していますが、通販サイト化に対応していないからと言って、通販サイトにできない訳ではないのです。Genesis Connect for WooCommerceのプラグインを有効化して、スタイルを用意すれば、GenesisのSEO効果を持つECサイトを作ることができます。
デメリット
1 ドキュメントが英語
Genesis自体アメリカの会社が制作したテーマなので、マイページに用意されているドキュメントが全て英語になってしまいます。
最近はGoogle翻訳の精度が大きく向上したため、かなり英語を読みやすくなりましたが、それでもアルファベットを見るのが苦痛でしょうがないという方は、Genesisのコードやドキュメントが英語ということがデメリットになると思います。
GenesisフレームワークとGenesis子テーマを日本語化する方法
2 WordPressテーマとしては高額
こちらのページ で紹介しているGenesisの子テーマ一覧のように、他のテーマと比べると決して安くはありません。Genesisは一流のSEO専門家やセキュリティ専門家、プログラマーが制作していることを考えると、仕方が無いのかもしれませんが、、でもやっぱりもう少し安くして欲しいものです。
そのため、趣味でサイト制作する場合は別として、仕事やアフィリエイトとしてサイトを制作するなら、Genesisの価格設定は無視できないものとなるかもしれません。Pro Plus なら全てのGenesis子テーマを好きなだけ使うことが出来ますが、バラ売りで何度も子テーマを購入する場合には、それなりの金額になると思います。
ちなみに、Genesis以外のWordPressテーマでは受託制作が厳しいものもありますが、Genesisの場合は、一度テーマを購入すればライセンスを持たない方のサイトを制作したり、自社のサイトをGenesisで複数構築することができます。
3 オリジナリティの高いことをするほどGenesisについて知る必要がある
Genesisの場合、genesis()
という関数をPHPファイルの最後に書くと、そのページに合わせて固定ページや一覧ページなどを勝手に表示してくれます。
なので、簡単なカスタマイズなら genesis()
関数を利用すれば何とかなるところはあります。それに、Genesis Visual Hook Guide という無料のGenesis専用プラグインを利用すると、ウェブサイトの画面上(フロントエンド)にアクションフックを表示させながらカスタマイズを進めることもできます。毎度毎度Genesisフレームワークのコードを見なくて済むので、とても便利です。
ただ、オリジナリティの高いことをすればするほど、Genesisフレームワークについて知る必要が出てきます。Genesisフレームワークのコードをじっくり見る必要も出てくるかもしれません。
また、Genesisのコードは printf()
のようなC言語由来の関数を他のテーマに比べて多用しており、HTMLの中にPHPが混じっているというよりは、PHPメインのコードの中にHTMLが混じっているという方が正しいと思います。
プログラミングを学び始めたばかりの方は、Genesisの良質なコードを通してスキルアップをすることが出来ると思いますが、がっつりカスタマイズしたいけど、PHPコードをできる限り扱いたくない、プログラミングは嫌いという方は、Genesisのゴリゴリカスタマイズは避けて、Design Pallet Pro のようなGenesisカスタマイズ専門のプラグインを使用するか、Genesis以外のテーマを使用する方が無難かもしれません。
4 デザインが海外風
ドキュメントが英語というものと少し被るのですが、Genesisは海外製のWordPressテーマなので、Genesis子テーマによっては、いかにも海外風なデザインになることがあります。
CSSで配色や余白を調整できる方にとっては、多少の手間がかかる程度で済むかもしれませんが、CSSを扱ったことがない場合には、それこそDesign Pallet Proのようなプラグインや、WordPressのチュートリアルサイトを見る必要が出てくると思います。
最後に
ここまでGenesisのメリット・デメリットを見てきましたが、かなりざっくりとした言い方をすると、GenesisはWordPress初心者も使いやすいよう設計された業務用テーマだと思います。
管理画面から色々なことを簡単に設定をすることができますが、他のサイトには無いような機能を加えようとすればするほど、WordPressやGenesisフレームワークの知識が必要になります。
ただ、それを補って余りあるほどの魅力を持つテーマでもあります。
実際に、海外ではGenesisを利用している制作会社は意外なほど多いです。SEOに強いテーマと言うと、アフィリエイター向けのテーマという印象を持たれるかもしれませんが、いちGenesis愛好家としては、コードの質や効率を求める制作会社こそGenesisと相性が良いんじゃないかと思います。